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現代における築古戸建住宅の投資時の評価(1) 不動産投資の時代の変化の理解 – 過去の評価モデルと、現代の社会情勢


空き家ラボ掲載記事 | Roopt(巻組)

Rooptを運営している巻組では、空き家の活性化について随時事例等を調査しコラムとして発信させていただいています。

これまで、築古戸建物件はどのような評価がなされてきたのか、そしてこれからはどのような視点が必要なのか、について、シリーズの最初の動画であるこの動画にて概要を説明します。

メッセージ

乃維: 皆さんこんにちは、ガイアックスや、巻組のプロジェクトを手伝っている乃維です。この動画では、現代における築古戸建住宅の、投資時の評価について、ガイアックス代表執行役社長の上田さんにお話を伺っていきます。現在では、空き家や築年数の古い物件は、金融機関に評価されていませんが、これから先、空き家や、築古物件はどんどん増えていくと考えられています。そういった物件も、金融機関から評価を受けるためには、どのような策を講じていくことができるのでしょうか?今回は、再建築不可物件に対して投資を行っている、ガイアックスの代表の上田さんが、現在の社会情勢を踏まえながら、評価モデルについてお話します。上田さん、よろしくお願いします。

上田: よろしくお願いします。ガイアックスという会社自体も、一部、不動産投資をしていますが、今、乃維さんが言ってくれた通り、築古物件とかを投資している会社に投資をしたり、また個人的にも不動産投資など、いろいろ見ていますので、そういった経験からいろいろ、投資家としての意見をお話しさせていただきたいなと、ぜひ金融機関さんとか、こういうことを考慮してもらえると嬉しいな、なんていうことを思っています。

今回のスコープ

乃維: では、さっそく今回のスコープということでお願いします。

上田: 基本的には商業ビルとか、そういったことは一切扱わずに、大体高くても2、3000万ぐらい、場合によれば負動産、負ける動産じゃないですけれども、お金つけて処分をお願いしますみたいな、500万、1000万つけてお願いしますみたいな、そういったようなレンジの金額の物件、多くは500万、1000万ぐらいだと思いますが、築古、戸建て、木造建築、そしてどちらかというと、都内というより地方を中心に、そして一つ重要なのが、再建築不可などの条件が不利な不動産の話が、多いんじゃないかなと思っているのですが、そういったようなケースを中心に話していきたいな、というふうに思っています。

あるべき姿の概略

乃維: あるべき姿の概略というところで、どういうふうに上田さんは考えていくべきだと思われているのか、次のお話をお願いします。

上田: これから、何個かの動画にわたって、お話をしていきたいなと思ってるんですけれども、それの概略について、まず最初にお話したいなと思っています。これまで不動産というのは本当に不動産として見て、この不動産の価値はいくらだとか、この不動産の価値はいくらだから、これぐらいお金貸していいかなとか、そういうような形で考えていたと思いますが、巻組やガイアックスや、ガイアックスが投資する他の会社は、不動産を単純に不動産として見てるのではなくて、事業をやっていくための基軸のものだと考えて、不動産を見ているんですね、具体的には例えばシェアハウスだったり、民泊をやっています。

僕らが不動産を評価する時、どう評価するのかというのは、ベーシックな価値、どちらかというとこれまでと近いといえば近いのですが、ベーシックな価値を見て、もしくはその事業として使ったら、これで、どのぐらいの価値を生むのかなというのを見て、その両方を見て総合的に考えて評価します。具体的なところ、高い方を採用しています。

世の中で流通している金額を我々が見たときに、世の中の流通している金額の方が高ければ、別に我々が手を出す話でもないので、どちらかというと、それはあんまり我々の、今日の話のテーマでもないのですが、事業として見たときには、実はこれ宝物だよね、という時には、そちらの価値を採用しているというような感じです。

この2つの、日頃使われているベーシックな価値と、事業の価値判定についても、先に概略だけ説明したいのですが、ベーシックな価値は、今までの考え方と一緒といえば一緒なので、別にコメントする話でもないですが、ただ、ベーシックな価値といっても、既存の考え方はちょっと、賃貸を甘く見すぎです。もうちょっと別に言うと、新築で作る、もしくは新築で作るために、土地を買って新築を建てる、こういう考え方に侵されすぎで、今はもっと賃貸で使えます、ということを考慮すべきです。つまり賃貸で良ければ新築である必要はなくて、築古物件でも良くて、築古物件の状態の売買をもっと評価すべきかな、というふうに思っています。

加えて、一件一件の土地の評価もそうですが、事業をやっていく会社、もしくは事業をやっていく人に対して、一件一件の土地だけではなくて、全体的にその事業全体の評価、これもまた問題なのですが、不動産の評価が結構難しくて、というか不動産の評価だけで評価されていて、それが困っているので、事業として見たときに、例えば10個の不動産を持って、10個の不動産でシェアハウスとか民泊をやっているとき、もしくはこれ賃貸でもいいんですが、これ会社として全体のBS・PLって、どうなっているのかな?みたいなことを、より考えていくべきなのではないかな、というふうに思っています。

乃維: ありがとうございます。建物を、築古戸建物件を評価するには、建物だけを見ればいいというわけではなくて、そこでどのような、ビジネスが行われているのか、行われる可能性があるのかだったり、先ほど、誰が借りるのかによって、お金の流れが変わってしまうと、また難しい問題があるという話もありましたけど、そういうビジネスだったり、地域のコミュニティだったり、誰が運営しているかだったり、いろんな観点を見て、評価されていかないといけないというところが、一概にどうと言えないのが、すごく難しい問題なんだなと思いました。

過去の評価モデル

上田: まず最初に、これまで世の中ではどう評価してきたのか、というのを整理したいなと思ってます。乃維さん、この不動産についてどう評価するかとか、もう少し言えば、不動産に対してローンをするって、世の中でよくあると思うんですが、乃維さんのこれまでの日常生活の中で、住居や不動産に関して金融機関がお金を貸すとか、貸さないとか、それの金額がどうだとかという話、どういうところで触れたことがありますか?どういうイメージを持っていますか?

乃維: 私は自分の実家が家を建てた時とかに、親が借りてたなっていうところで、ちょっと触れたことがありましたね、確実にもちろん返せる保証がないとなかなか降りないとか、あとどういう風に使っていくか、物件を建てる上での条件をクリアしているのかだったり、そういうところが、厳しく見られていたようなイメージを持っています。

上田: ちなみに乃維さんが何歳ぐらいの頃ですか?

乃維: 私が高校に上がる時ですね。

上田: ご家族は3名?4名?

乃維: 3人です。

上田: 3名で。本当にそれはよくある世の中の風景で、3人のご家族で住宅ローンを組んで、住宅ローンの返済は何年にしましょうか、みたいな話があって、これなんか父親だけの年齢で返せるのかなとか。

乃維: そうなんですよ。私も父親が冗談で言ってるのか、本当か分からないんですけどいつも2世代ローンだから、お前が稼ぐんだぞって言われますね。

上田: そうですよね。皆さんも全然違和感ないと思うんですけど、こういうのが普通の世の中だと思います。実際、金融機関はどんなことを信じてお金を貸していると思います?

乃維: 返せるかどうかが一番見られますよね。

上田: そうですよね。返せるかどうかの裏側には、これは、ケースバイケースだと思いますが、お父様がどういうところで働いてて、今後も永続的に働くのかな、というのが前提になったりするんですよね。ここがまず変なんです。

確かに昔の日本でそういう家族が一般的で、そういう家族に対してそういう長期間のローンを組んで、お金を貸して新築を建てるっていう風になっていたな、確かに今、全然違ってきているけれど、もしかして金融機関ってそのままなの?みたいな。実はそのままだったりするのですよね。

つまり、どういうことかというと、土地とか建物を信用してお金を貸しているのではなくて、働くお父様を中心に信じてお金を貸している。そして引っ越しをしない前提なのですよね。当たり前ですけど、引っ越しをしない長期間に渡って使うという感じ、そして当たり前ですけど、おそらく新築でこれがまた、関連してくるのですが、新築ということは、世の中が、そうやって新築を作るということは、土地は新築を作る為の土地としての評価なのです。

40年ものの建物が建ってあって、土地があったときに、これどう評価するかというと、いやこれ売買ですか?と、では、空地にして新築建てるから、上の建物はこれゼロ評価ですね。はい、土地ですね。この土地の評価はいくらですね。みたいな感じで新築を建てるケースが多すぎて、土地を評価します。

次に関わってくるのが、再建築不可物件について、土地にはもう一度建物を建てれる土地と、建物を壊したら最後、その土地には建物を建てれない土地があります。これは、道路とかに接してない土地、もう一度建ってしまうと、例えば今後火事とかになった時に、大変というのがあるので、できれば道路に触れてる土地と合併して、合併した上でもう一回建物を建ててくださいねみたいな方針があって、道路にあんまり接してない土地とかは、再建築不可物件になったりします。

今までどう評価されてたかというと、みんながみんな新築文化だから、その建物を評価するってことをしなかったんですね。

こういうようなモデルとしての日本人がいて、それを前提に融資とかをするスキームがあった、というのがこれまでなのです。もう一個、言っておきたいのは、土地とか建物を見て融資をしてるわけではなくて、人を見て融資をしてるので返済できない場合、その人が返済しないといけないのです。

実はアメリカでは普通は物件を買うときに、物件を担保に金を貸して、借りた人に紐づかない貸し付けが多いんですよ。例えば乃維さんが2000万で土地を買ってきます。金融機関に行きました。「そうですね〜今2000万で流通してますけど・・・不動産の土地の価格って上がったり下がったりするので、そういうリスクも我々銀行ですから、取れないので1500万貸しますわ。この建物は、1500万の貸付に担保にさせてくださいね。」と言われて、乃維さんが500万出して、借りてきた1500万と一緒にして2000万で買いました。

例えば、5年経って今2〜300万返済して、乃維さんがその建物を売ろうとした時に、残りの借入が300万返したとしたら、1200万だと思うのですが、1200万以上で売れたら1200万返すし、1200万以下でしか売れなくても、乃維さんは責任取らなくていいんですね。

アメリカだと、その人が、どこまで良い会社に勤めていたとしても、その人に紐づいてないので、「一流会社に勤めてますから」と言われても、「いやいや、こんなゴミな土地を2000万で買うのは間違ってますよ。」みたいな。お金、貸しますけどゴミな土地だから、500万しか貸し付けれませんよってなります。

アメリカの場合、借りれる額は土地とか建物の状態で借りれる額が決まる。なので金融機関も必死に、土地とか建物を評価するのです。これ実際再販売されるといくらかな?とか。当たり前ですが、普通に考えてまだ使える家を、潰しては新築建て、潰しては新築建てするよりも、使える建物をどんどん次の世代に、回していってやる方が全体としては効率がいいわけです。

今後のモデルを作るにあたっての現代の社会情勢

乃維: ありがとうございます。その過去のお話を踏まえて、今後のモデルを作るにあたって、現代の社会情勢というのは、どういうふうになっているんでしょうか?

上田: そうですね。これも別に当たり前すぎて、私が話す話でもないんですけれども、普通に考えてライフスタイル変わってきてますよね。この辺りは後で詳しく説明していこうと思っているのですが、一つはライフスタイル変わってきてますよね。そして、人口動態も結構変わってきていますよね、というのが一つあります。

2つ目、これも結構重要なのが、働き方としてワーケーションだとか、リモートワークというのが普及してきています。働く場所が住む場所みたいなのが開放されつつある、ということです。

3つ目、シェアリングエコノミーというものが、世の中に普及してきています。いろんなものをシェアしましょう。そしてそのシェアしてきたもので、いろいろ出来ますよねっていう、具体的には民泊だったり、シェアハウスだったり。それを組み合わせたようなサービス、例えば、ADDressだったり、他にも沢山あるのですが、そういったシェアリングエコノミーが普及しています。

4つ目の変化が、何が何といってもテクノロジーです。テクノロジー、建築業界でいうとですね、普通にこれまでだったら20年しか持たないものが、50年、100年持ちます。とか、ファイナンスに関するテクノロジーだったり、いろんなテクノロジーが伸びてきているので、それによって世の中変わってきます。

こういう変化、当たり前ですけど、50年前に作られた日本人の、このライフスタイルに合わせた融資スタイルが、この50年間で今、挙げたようなことを、いろいろ変わってきているというのが、現在の社会社会情勢です。

社会へのインパクトのために重要な点

上田: ここで、もう一個それを踏まえてお話ししたいのですが、金融機関さんが価値を認めないから、担保にしてお金を貸さないっていう話と、実際に売買した時に価値がつかないっていう、この2つはですね、どういう関係にあるかというと、これは結構難しくて価値がつかないから、金融機関さんが担保設定しない、っていう風に思ってる人は多いと思うのですが、実は逆のケースも多々あって、金融機関さんが担保価値を認めて、お金を貸さないから、流通金額が低いっていうことなんです。

例えば乃維さんが持ってる土地が、これまでの社会の考え方だと、100万円の価値にしかなりませんでした。ところが今の時代背景から考えたら、それ1000万の価値は本当はあるんです。その土地を例えば僕が買いに行きました。「乃維さん、その土地売ってくださいよ。」と、乃維さんからしたら「いいですよ」と言った時に、「じゃあ僕、金融機関さんに相談して、自分の手元のお金と、借りれる金額の合算を見た上で、いくらで買えるか、オファー出させてもらいますね。」と言って、金融機関さんに持って行った時に、「いや〜あの土地ですか、買う時に100万しか貸せませんよ。」、と言われるのと、「あの土地ですか。今どきで考えると、あれ、1000万くらいの価値もありますよね、もういくらでも貸しますよ。1000万まで貸せますよ。」と金融機関さんが言った時に、僕が乃維さんに、オファーする金額が変わってくるわけですよね。

評価としてはもっとしてもいいんだけど、手元に現金がたくさんあるわけじゃないから、「やっぱしんどいですよ」と言って、買ってるのが現実的なんですよね。これは、リノベも一緒で、古い建物をリノベをすれば、もっと使えるのにな、ってことは多々あると思いますが、100万の物件にリノベしたいからお金貸してください、物件担保に入れますからと銀行に行っても、相手してくれないんですよね。

今、世の中で空き家で、にっちも、さっちもいかないような状態の空き家がいっぱいある、っていうのはどういうことかいうと、それに対して評価をつけてないからです。今の新しいライフスタイルで見ても、評価つけれないのはしょうがないですよ。それはもう、にっちもさっちもいかないから、それは評価つけれないし、しょうがないですけど、今のライフスタイルから考えたら本当は評価つけれるのに、それを評価つけてないってのはもったいなさすぎるな、っていうふうに思っています。

これが起こっている背景は先ほど言った、人の属性で金を貸し付けてるっていうのは、根っこに関係してるのです。物件評価、人に紐づかない貸し付けのこと、ノンリコースローンって言うのですが、ノンリコースローンで貸し付けていないということと、中古物件が動いてなかったり、中古物件がリフレッシュされてないというのは、根っこでつながってる問題だなというふうに思っています。

最後に、皆さんにお話ししておきたいところなのですが、なんとなく世の中で新築物件を建てる、30年ローンを組む属性の高い人間、一流企業に勤めている属性の高い人間がいて、そこに低金利で、貸し付けてっていうのは、なんとなく、不動産業界におけるきれいな分野で、一方で不動産投資家とかが、安く仕入れて高く売るとか、安く仕入れてリノベしてなんとか使えるようにするとか、金融機関さんがなかなか相手にしきれない物件を、いろんなプレゼンを繰り広げて、なんやかんや、いろんなスキームを使いながら、金融機関からお金を引っ張ってきて、レバレッジをかけて稼いでいるというのが、なんかこれあんまり綺麗な分野じゃないよね、みたいな印象が世の中にあるんじゃないかなという気はしているのですが、それは本当に違いますよ、というのを言いたいですね。

別の例えで言うと、車の産業もそういうふうに思っている人が多いと思いますよ。新しい車を買うっていうのは、なんか綺麗な産業だなぁ、みたいな。中古車産業って、なんかややこしそうな匂いしますけどね、みたいなことを言っていると思うのですが、では、みんなが中古車をどんどん廃車にして、新車を買ったら、世の中にとって良いかというとそんなことないわけですよね、できるだけ中古車をずっと使った方が良いに決まっているわけです。

要は、問題はどこにもあるのです。よりクリーンにして見える化して、できるだけ有効活用できるようにしていくかというのが、すごく重要で、むしろ新築よりも中古産業をどう発展させるのか、というほうが世の中にとって重要なんですよね。今後、社会へのインパクトのためには、そういう点を皆さんに感じてもらいたいなと思っています。

乃維: 上田さん、お話ありがとうございました。今回は現代における築古戸建住宅の、投資時の評価というところで、過去の評価モデルや現代の社会情勢を踏まえてお話をいただきました。次回もライフスタイルや人口動態だったり、ワーケーションやリモートワーク、シェアリングエコノミーなど、先ほど上田さんがお話しされていたところを、さらに深掘っていくような動画をあげていきたいと思っています。次回もぜひご視聴ください。ありがとうございました。

上田: ありがとうございました。

出典: 空き家ラボ

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